1997年 世界バレエフェス・ガラ
おまけ の話
“1997.8.10.Sun.
今、午前☆時。 興奮状態である。 夜は眠るもの といっても、とても眠れそうにない。
8月9日 土曜日、第8回世界バレエフェスティバル ガラ・パフォーマンスを見る。
あまり期待しすぎてもがっかりするから ほどほどに抑えようとしてはみたものの、やっぱり心のどこかで期待がふくらんでいたみたい。・・・ ”
ガラ・プロ そのものは、A・Bプロよりも良かったダンサーが多かったでしょうか(中にはそうじゃないのもちょっとありましたけど)。 A・Bプロともよいダンサーは
ガラでも それなりにしっかりと魅力を発揮し、・・・と いう程度で、ガラでとくに興奮の渦にまきこんだ
というのは、とりたてて なかったような。 私の印象で 良かったのは、マルティネスとルテステュの黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ、
ルグリの「くるみ」(パートナーはメラニー・ユレルでしたが(^^;)と 「タイス」(&カルフーニ)、ギエムの(&コープ)「マノン」第3幕沼地のパドドゥ(これ
めったに見ないせいか?(←当時はまだそうでした。) でも ギエムがとてもよかった)、そして、Bプロと同じだけど
ジル・ロマン「声」、くらいか。もちろん 他の人もほとんど良かったんだけど、突出した感じのは
あまりなかった気がします。 トリの、ゲルファンドのドン・キ(&カレーニョ)も
もう(その)3年前のような超絶技巧ではなくなっていたし。( ←ガラでは ちょっと期待はずれだったけど、大阪最終日のトリはすごかったです。ゲルファンド、そんなに肩に力が入ってて大丈夫なのー?と心配だったが、フェッテの超絶技 トリプル以上は最初の1回だけだったけど、あとで トゥール・アン・レールしながら進むステップ(?)という、男性に近い技をやってみせ、大喝采でした。おきゃんだし、さすがゲルファンド、最後を締めくくる、力わざでありました。)
今回、回転技でも 男性のパワージャンプでも、同じくらいすごい人が何人もいたので、あまりおどろかなくなってしまいました。 なんて
ぜいたく(^^;)
マラーホフは、「アポロ」が 私には全く期待はずれで、どうしちゃったの?って心配になったくらい(以下自粛(^^;。この時はAプロのロベルト・ボッレの方が私にはよかった印象。)ワロージャ、カーテンコールでもあんまり笑っていなかったね、、と
私には見えました。。。
トリの1つ前、「ヴォヤージュ」(…なんで これが入ったんだろう?とは思ったのですが)
は、(以前の経験から)期待しすぎないように と思って見ていましたけど、これは
やはり よかった。ちょっとホッとしました。(この回、私は、東京Bプロ初日の「シルヴィア・パドドゥ」で
マラーホフがちょっと流して踊っているように感じられてしまって、そのことがずっと気になっていたもので・・・。 前年(96年)の病み上がり
よりは ずっとよいはずなのに、他のダンサーにくらべて、なんか力を抜いてるような、流してる
ような気がするのは 私だけですか?と。(まぁ、2日目以降や、大阪では特に、全般的に良かったですけどね。チラと
したたかさを感じたり、ある時は体力不足を心配したり、気になる点無い訳じゃなかったですが(^^;。) ・・・でも、「シルヴィア」って、振付に派手さがないためなのか、マラーホフが控えめに踊っているせいなのか、ヴァリエーションも何も、あまり
圧倒されるような感じがなく、・・・あえて言ってしまえば、これみよがしの、1回で印象に焼きつくような
テクニックの誇示は ほとんどといっていいくらい、ない。…この バレエ・フェスの中では、みんながテクニックを誇示しがちなので、逆に
マラーホフの 優雅な美しさを見せた「シルヴィア」は、そういう点では 異質
といえたかもしれません。。。 )
(前置きが長くなりました。m(__)m)
―― ガラ・プロ 20作品 終わって、いつものように 「眠り」のフィナーレが鳴り出し、あーあ、今年もこれであっさり終わってしまうのか(前回94年はファニー・ガラのおまけはありませんでしたから)、と
なかば あきらめの気持ちで聞いていたところ・・・ 佐々木氏の声。
これまでの ガラ・プロ、千秋楽のトピックスに触れ、・・・ちょっと趣向があるようですので、と オケを下がらせる。 む、これは
もしかして。。。♪?? ドキドキ。
はたして、この年は 20作品 5時間に、さらにおまけがついたのでした!
キューバの、今回の最もウケた若手ペア、ボアダ&タバレス=ディニスの「アド・ギャグ」、
マルティネス、ハリントン他の パ・ド・カトル、 ルグリの 「ドン・キホーテ」(♀)、
そして・・・
マラーホフが ギエムのマネをして踊った、グラン・パ・クラシック の 女性ヴァリエーション!!!
すごかったよ、もう〜〜・・・!!(はぁと)
ガラの おまけについて。
1.フェルナンダ・タバレス=ディニス&ホアン・ボアダ 「アド・ギャグ」
(私は この演目、初めて見たように思います。)
終わりのあいさつまで 徹底してギャグ。フェルナンダは 片方だけタイツはいてるし、 途中で舞台そでからチャチャが入るし。 上手いし、とてもおもしろかったです。
2.パ・ド・カトル マルティネスとレックス・ハリントンと、あとの2人はカレーニョとグエラか?
最初の曲と終曲、ちゃんとみんなポアントシューズで立って 踊ってみせるので
おどろき。
特に ジョゼ・マルティネス、長身がポアントでスッとバランスよく立って きれいに回ってみせるし、すごく上手い、きれいでびっくり。
オペラ座って こういう練習もしてるの?なんて…(笑)(最新2007年10月号の「ダンスマガジン」“トゥシューズ特集”に
ちょうどマルティネスのインタビューが出ていますが、この時のガラが初めてだったそうですネ!)
途中でわざとスカートを落としたり、お互いけん制しあったり、終曲ではカスタネットを上手に鳴らして踊り(さすがスペイン)、それを胸へ入れたり、しまいにはトゥシューズを投げたり(?) それをまあ、いつものなにげないふんいきでやるもので・・・。 (アニエスがひぃひぃ笑い転げていたとか。)
カーテンコールでは、他の3人も シルフィードのようなジャンプをしてみせたり、客席通路へ下りてきたり、大さわぎ!(ジョゼは
オケピットのかべの上を歩いてた!)
レックスとかグエラ?の化粧は トロカデロばり (客席から「気もちわるいぞぅ!」の声)。
レックスは カーテンコールで ひとり ちょっと目立ったしぐさも。
いやはや、・・・ でも ともかくみんな すごい。
3.ルグリがチュチュを着けた「ドン・キホーテ」! 相手は クレフツォフかマッツか? (マッツらしい。)
ルグリのポアント・テクニック すごい! アダージョのバランス技もやってみせるし、ヴァリエーションはなかったけどコーダではたしかフェッテも!? 途中で、その前の
パ・ド・カトルの4人(マルティネス他)がうちわ持ってバジルにチャチャ入れに来たり、あっちでなくこっちとキトリがバジルをふりまわしたり、キトリを受けるバジルのかっこうが
まるで格闘技の様相を呈したり、パロディで笑える。
でもルグリは上手かった! 回転しながら舞台を大きくまわる技(マネージュ?)とかも!
そして、ルグリに花束を持ってあらわれたのは、ギエムそっくりのかっこうをしたマラーホフ! (以前、旧掲示板でこの件が話題になったとき書き込んで下さった方の話によると、このときマラーホフは花束を2つ持って登場し、ルグリがひったくるようにして花束を取ったり・・・というような花束のやりとりのシーンがあったようなのですが、、、わたしは自分ではあまりよく憶えていなかったので、残念ながら
ここに詳しく書くことができません。。m(__)m )
4.マラーホフの、「グラン・パ・クラシック」の女性ヴァリエーション!
東京Aプロのギエムとそっくりの、赤いボブのかつらに、黒のハイネックシースルーのレオタードとチュチュ、 それが、スッと
こともなげにトゥシューズで立って、ギエムそっくりに踊り始めるのだ。
ポアントでの回転など 見るたびに「おおっ! おお〜〜っ!!」
(ギエムはAプロで、ヴァリエーションの後半 ポアントのままゆっくり回転しながら前進するところ、後半は3拍めで
ホントに脚を高く上げてみせてから回っていて、ほんとうにスゴかったのですが)
同じ ずっとポアントで行くところ、マラーホフも 後半は ギエムばりに足を高く上げてみせる。(いわゆる6時のポーズ) さすがに
2〜3回のうち1度はちょっと落ちましたが…(^^;。 しかし、最後の、回転しながら舞台を大きくまわる技も、ルグリより
もっときれいだったし・・・
いや〜〜、すごかったです。カーテンコールまで ギエムそっくりに振る舞ってみせるし。。。
マラーホフ、観察眼もそうだが、センスもスゴイ!
女性でもむずかしいだろう踊りをこなすなんて、すごいし、上手いし、きれいだし・・・。
きゃあきゃあ 興奮して見てしまいました。
アンチ・マラーホフの人でも、これはねむくなかった、と言ったそうな。
踊りおわったあと、本物のギエムが花束を持って登場。受け取って、ギエムと抱き合ってましたよね。そのままのかっこうで、左から右へよいしょとマラーホフが向きを変えるかたちでギエムを運んで、そして離れて、ギエムが袖に引っ込んだ、
そんな記憶(というかイメージ?)がわたしの中にあるのですが...、見ていらしたかた、ちがいました?
で、その時2人のあいだにどんな会話が交わされたか?
私の妄想で浮かんだやりとりが、その後もなんかひっかかってというか残って、だれかに聞いてほしいような(と思いつつ結局しばらく誰にも言い出せず)、でも
あくまでも勝手な妄想だし全くのとんちんかんなものかもしれないので、こんなところに書いてもいいものかどうか、ぐずぐずと悩んでました。でも、
まあ、思い切って書いてしまえば、
M「きみと踊りたい」 G「あなた、わたしをリフト出来る?」 ここでよいしょと向きを変えて、M「・・・ 」?
彼ははたしてなんと思ったものか、さて??
と、いうものなんですが、(・・・わーっ、みなさん ごめんなさいっ! 石 投げないで〜!!)
最初のセリフは、94年の世界バレエフェスに出場が決まる前に、雑誌のインタビューで、たしかギエムやフェリと踊ってみたい、ようなことを言ってた気がしたから、なんですが、、、この場面、「それはちがうでしょ」とお思いのかた、すみません、後からでもどうぞ掲示板等にお書きになってください。
それにしても、ほんとうに本当にマラーホフは上手かったです。 モスクワ時代の「カルメン」(?)
の映像がYouTubeに出ていたようですが、アメリカやドイツや他の国でも、こういうおふざけをやることはあるのでしょうか?
ちなみに、この後の大阪公演では、ギエムは、赤いボブのカツラではなく黒のショート・ボブでした。ワロージャを意識してる?と思うにつけ、思い出してまた笑ってしまいました。
おまけのエピソードをもうひとつ。
5.ガラのフィナーレ
今回は、みんな、いろんな格好をして出てきました。着物の人もいれば、イギリス・アメリカ組は 女性は黒やブルーのおしゃれで粋なドレスだったり。 ギエムとイレールはおしゃれな洋装、コープは羽織・はかま。カルフーニさんは着物が似合う、立ち居振る舞いもしとやかそう。 ジルはチャップリン、十市君は赤いきもの(振りそで?)。ボアダとフェルナンダは沖縄風?or時代劇風? ステパネンコもたしかきものでした。 ボッレとセアーブラは
ローブを脱いで 地中海・イタリアのカッコイイ男女。パ・ド・カトル組はチュチュのまま。
マラーホフはというと、ヴォヤージュの白の上下に、黒のサングラス、くわえたばこ、に、両手になにかいっぱい入った紙袋をぶら下げて、青いドレスのジャフィーのあとから、いかにも
奥さんの買い物に付き合わされている旅行者、といったいでたちで現れました。笑ってしまった。
おまけのついで。 この年、Bプロ最終日に、最後のカーテンコールで おひねり(サイン入り手ぬぐい)が飛んだのだが、ワロージャが
ひとり最後までかかえてる と思ったら、投げながら踊りだしちゃって、(まるで「白鳥の湖」等の道化よろしく)最後の2つを両手で投げキッスみたいに前方へほうると同時に、アティチュードのポーズ!! 舞台上のダンサーたちも笑ってたし、きれいで、ウケていました。
ガラのさいごにまた手ぬぐいが飛んだけど、マラーホフは もうおどりはしなかった。最後の1本は飛ばしてたみたいだったけど。
というわけで、興奮のうちに幕をとじました。
ちなみに、大阪の最終日にもおひねりが飛んで、そのときのワロージャは やはりさいごの1本で
飛ばしながら 美しく舞っていた ような気がします。
NBSの佐々木さんの本によると、このガラのマラーホフの演技で、ギエムの心中はいかばかりか…(お怒り?) とのことでしたが、ほんとのところはどうなんでしょう?
このときの マラーホフの「グラン・パ・クラシック」女性ヴァリは その後ほんとうにいつまでも語り草で、
「いっそ合成でマラーホフが男女両方のパートを踊るビデオ・DVDでも作ってくれないかと」というのが掲示板の書き込みにありましたが、後に知り合ったバレエファンのあいだからは、「ギエムと男女交換でやれば」
とか、いや「2人ならんで女性パートをやってほしい」 なんて声も聞かれました
^^;
ちなみに、このときの ギエムを真似たグランパクラシックの映像、TVでは
その後99年の1月に 日本テレビ系列の「ニュースの出来事」で、マラーホフの来日に密着取材の特集で ちょこっと流れたことがあります。
わたし…、1回でいいからマラーホフとギエムが組まないかなあ とひそかに思ってるんですけど…(思っていたんですけど)。
現代 それぞれ最高の、美しさとテクニックを持つダンサーですよ?
演目は、グラン・パ・クラシックか眠り、またはどなたかオリジナルを作ってくださらないかなぁ、と・・・。
みなさんは、そんなふうには思いませんか? ゼッタイありえない話かしら。。。
(リフトとかでは確かにマラーホフには負担がかかりそうなので、その辺特別仕様で・・・(笑)。既存の演目では一般的にはもうありえないだろうという気もするので、それこそガラのガラ又はおまけでスペシャルに、一度お願いしたいです。(^^;
)